身体拘束廃止について
平成12年4月より施行された介護保険法の中には介護老人福祉施設での「身体拘束禁止」が明文化されました。
介護保険制度開始まで半年を切った平成11年11月に横須賀老人ホームでは、各フロアの介護職員・看護師・相談員など11名による「拘束廃止検討委員会」が設置されました。
当時は、身体拘束とどのような行為を指すのかもきちんとした定義がされていない中、「利用者の立場に立つ」ことを確認した上で、
- どのような状態を拘束と考えるのか
- 現在、横須賀老人ホームの中で、どのような利用者に対して、どのような拘束が行われているのか。また、「なぜ行われているのか」原因を明らかにする。
- 「拘束を行わないためどうしたらよいか」を考える
- 「緊急やむを得ない場合」とは、どのような状態をいうのか考える。
- 「緊急やむを得ず拘束を行う場合」の、ホーム全体としてのマニュアルを提案する。
という経過を経て、平成12年2月29日に「拘束検討委員会報告」をまとめました。
発表した時点で車イスの拘束帯3名。ミトン型手袋2名。ベッドの4本柵6名がいらっしゃいました。
「高齢者のケアに当たる職員一人ひとりが、危険だから拘束をして良いという発想ではなく、拘束しなくても安全がどうしたら守れるのかという工夫・技術を持つことが我々の専門性である。」ということを委員会報告のまとめとし、平成12年3月に「横須賀老人ホーム介護福祉施設契約書」に基づく「身体拘束等行動制限についての取扱要領」を作成し、同時に「事故報告書(のちに出来事報告書)」の作成をルール化し、「ケガの有無。大小に限らず、どんな小さな出来事でもご家族に報告していく。」ということを施設の中で取り決め、平成12年4月の介護保険制度開始時より、「身体拘束廃止」を施設の基本的な考え方として続けています。
現在、この「身体拘束等行動制限についての取扱要領」「出来事報告書」の考え方は当法人のすべての老人ホームの考え方として取り組まれています。
また、神奈川県の「身体拘束廃止推進モデル施設」として、各地域内における身体拘束廃止の普及、啓発の活動として、施設見学や相談窓口を設け、地域における権利擁護事業の一環として取り組んでおります。